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革のお手入れ方法

はじめに

革のお手入れを行う際に、ケアする革製品がどのような革素材で作られたものかを知ることが大切です。哺乳類、爬虫類の違い。鞣しの違い。仕上げの違い。等々により、お手入れの方法は違ったものになります。

革のお手入れをする前に知っておくべき革の基礎知識

皮 は、たんぱく質・脂質がついた状態のため時間が経てば腐敗してしまいます。
皮をなめすことでそれらを取り除き、コラーゲン、繊維のみを残し、革として使用できる状態にします。
前述したように、革のなめし方や仕上げ方によりお手入れ方法が異なりますので、革の基礎知識を知ることは、革製品をご愛用して頂くために欠かせない知識です。是非ご一読下さいませ。
⇒ 革の基礎知識へジャンプhttps://mocs-lms.co.jp/wp/leather-basic-variety/

 

革のお手入れに必要なモノ

革の手入れに必要なモノはそう多くはありません。
お手入れをしたい革製品の革がどのような革であるのかを知れば、用意するものが決まります。

 a.汚れ落とし(クリーナー)、汚れがきつい場合には洗浄用ブラシ
 b.汚れを.拭き取るための 紙・布タオル
 c.保革剤 (革製品に付属しているメーカー推薦品があればこれを使用)
 d.ブラシ(洗浄用とは別のブラッシング用)、またはネル等の柔らかい布

基本的には、上記の4点が有れば、事足ります。

 

革のお手入れ方法

日常のお手入れ

ステップ1 乾いた布で不良・余剰の油分やホコリをこまめに拭き取る。

革には色々な種類が存在するとご紹介致しましたが、どのような革にでも有効なお手入れ方法です。簡単に出来てこれといった効果が目に現れませんが、その革に合わない洗剤やワックスを使用するより適確なケアが可能です。気がついたときに拭いてあげましょう。
※注意!! 適切な場合もありますが、通常革に水は大敵です。傷みやカビの原因となり兼ねませんので、私供は乾拭きをお勧めしております。
また、ブラッシングも有効な手段です。毛穴に入りこもうとしているホコリや汚れを付着する前に取り除いてあげることができます。
※注意!! ブラッシングはお手入れする革の物象により選定してください。
トップコートが柔らかかったり薄い革(素上げや、アニリン仕上げ等の革)には、特に柔らかめの毛先のブラシを!

 

ステップ2 ケア用品を使用するお手入れ

・汚れの種類

革小物であれば手垢や汗、革製の衣類であれば汗や大気中の油脂類の付着、ソファーやシートであれば汗、大気中の油分、衣服の汚れからの付着等々、汚れや油脂類が革の表面に付着する要因は沢山あります。
油脂類が革の表面にあると、その粘性のためホコリをキャッチして、保持する原因になります。また、汚れは土や汗以外でも、革の色以外の色素を持つあらゆるものが、革の表面に付着すると「汚くなった」と認識してしまいます。このような状態になると、日常のお手入れだけでは、対応できません。
革製品に付属している革クリーナーや、保革剤があれば、これを使用することで革の変質や、退色等の事故を低リスクに抑え、本来のケアも有効に施せると思います。
汚れも放置すると汚れが持つ色素が革の銀面や繊維層に浸透して「シミ」になります。シミになると、原因が汚れでも落とす(抜く)ことは難しくなります。

 

・ケア製品を購入する場合

ケア製品が付属していない場合は、購入しなければなりませんが、数ある製品の中から、何を基準にして選べば良いか判断に苦しむところです。革製品のメーカーやブランドが推奨しているものがあれば、それをお求めになることが良いでしょう。販売店の推奨するケア用品もあるでしょうが、この場合は少し注意が必要です。
クリーナーの場合、泡立てられて、その泡を革の洗浄に使用できるものを弊社ではお勧めしています。親水性の革以外、水分は革にとって大敵です。クリーナーといえども大量の水分を革に含ませることは良い結果を得られないからです。
保革剤としては、液体系、固体系とありますが、流動性のある液体系が使い易いでしょう。
液体系は固形物が毛穴を塞ぐことも防げますし、浸透させる量も調節できます。(固形が粗悪だということではありません。)
また、動物性と植物性の保革剤があります。一般的には植物性が扱いやすいようですが、お手入れする革製品によって、選択することが基本です。革に栄養を与えるだけで良いと考える人。いやいや、栄養は勿論だが、ピカピカのツヤが欲しい、と考える人。それもそうだけど元々マットな風合いなのだから、マットに戻したい、と考える人。革に良いものと、個人の趣向は必ずしも一致しません。小物や革の趣向製品等は将来どのように変化させて、アジを楽しみたいのか。逆にソファーやシートなどオリジナルの状態をキープしてフォーマルに使用したいのか。クリームやオイル・ワックス選びは、これらを基準として考えると良いと思います。

 

・洗浄(革用クリーナー)して軽度の汚れを除去。加脂してコンデションを維持する。

ケア製品はクリーナーと保革剤が分かれているタイプ、クリーニング・ツヤ出し、保革等が一緒になったオールインワンタイプもあります。
オリジナルの状態を維持したい人には、分かれているタイプ。お手入れをして変化を楽しみたい人や、何度もゴシゴシ洗ったり、塗ったりするのは面倒臭いと思う人には、オールインワンタイプ。
大雑把に言うとこのようにカテゴライズできるかとも思いますが、レザー・ファーストである弊社としては、①汚れの洗浄・拭き取り、②クリームで加脂・保革が基本です。オールインワンタイプの場合、クリーニングした汚れを完全分解しない限り、汚れを浮かせて周囲に塗り伸ばすことになります。これを繰り返すと。。。。。「異物を除去して、コンデショニング」が基本と考えます。
※ナチュラルレザーやアニリン仕上げの革については、外部からの影響を受けやすいので必ずしもこれが正しいとは言い切れません。水でもシミが出来たりしますので、メーカー(ブランド)推奨のお手入れをご参考下さい。

 

ステップ3 シミやキズのケア

革にシミやキズをつけてしまった場合、一般レベルで対処できるものは、多くありません。しかし、大量にオイルをしみこませてある、オイルアップレザーについたキズは、丁寧にブラッシングすると目立たなくなることもあります。
また、ウレタン系のトップクリアーで仕上げられた革についたキズは、キズそのものを隠すことはできませんが、傷口に入った異色をクリーナーで除去すると目立たなくなります。(早期の対処が必須。再度異色が入り込む度に繰り返し対処しなければなりません。)
また、消しゴムで汚れを擦り出すこともできますが、周囲と違和感が生じたり、トップクリアーを削ってしまうこともあるので要注意です。
シミについては、とにかく処理する時期が早期であることが重要です。気付かぬうちにできてしまったシミの場合、殆ど抜くことができません。アルコール系や溶剤系の液体でシミそのものを除去することができても、周囲の塗膜も溶かしてしまうリスクが高いので、あまりお勧めできません。
ナチュラルやアニリン仕上げの革に水染みが発生した場合、更に水分を含ませて、シミの境界をぼかす方法もあります。しかし水分を抜くときに、失敗するとフォームが崩れたり、脱色のリスクもあります。
いずれにしても、シミやキズの修復については、リスクを伴いますので、専門店にお問合せすることをお勧め致します。

革のお手入れの際の注意点

・ケア製品は必ず革の種類から選ぶ

ソファー用のケア製品、バッグは全てこのケア製品・・・という具合に、商品の種類でケア製品を選ぶことは、確実ではありません。商品の種類ではなく、使用している革の種類によってケア製品を変えていくことが必要です。特に、染料タイプの革(一部のセミアニリン・アニリン)、起毛した革(ヌバック・スエェード・ベロア)等の革は、顔料タイプの革より液体・油分の吸収率に富む為、クリーナーやワックスをかけると  一部分だけシミになってしまう可能性があります。エナメルの革もエナメル用ワックスが必須です。間違ったケアをすると白濁する場合もあります。 革の製品を購入されたときに、お勧めのケア製品はないか。又、その方法等お店の専門知識を有する方に聞いてみましょう。

 

・革専用 の製品以外は使用しない

バナナの皮・牛乳・乳液タイプの化粧品、リンス等々を推奨する方がいらっしゃいます。
一時的に汚れは落ちても、上記のものを使用して革の持ちが良くなるかというと、答えはNOです。糖分やタンパク質等の成分が含まれている為、それらが繊維に浸透すると逆に革の劣化を促進する結果になります。また、毛穴を塞いでしまうこともあります。
繊維に浸透しても革を傷めない、革専用のケア製品を使用することをお勧めいたします。

 

・ブラシや布は、革の性質に合わせて選択する。

ブラッシング用のブラシは、革の仕上げにより選びましょう。バッグ等小物類、一部高級ソファーの革はナチュラルレザーやアニリン仕上げの革が使用されていることがあります。
これらの革はトップクリアーが薄く、またラッカー等の柔らかい保護剤が使用されている場合があります。(感触や柔軟性を良くするため硬くなる塗膜を施していません。)
これをブラッシングする場合は毛先の柔らかいブラシを使用しましょう。
また、乾拭き(日常ケア)、拭き取り(クリーニング・余剰油分)、拭き上げ(油脂類)に使用する布は、柔らかく毛羽がつきにくく、白色のものが有効です。白色は革を擦ったとき、色落ちしていないか、汚れが落ちているか等を判断できるためです。ネルやフェルト
柔らかいタオルの他に、最近ではファイバークロスも多く使われているようです。
※何らかの薬品が含まれている布は避けましょう。

 

・革製品の保管は慎重に!

一般的に革の保管条件は、通気性が良く、湿気の少ない場所です。
ソファー等革製家具を保管する(引っ越し等)場合は、倉庫の環境で決まります。
車両シートは、駐車場の環境。小物類は不織布や箱に入れて保管することがポイントです。
余談ですが、一部ジーンズ等色染めして色止めがあまり良くない布は、長時間革と触れていたり、水分を含んだ(汗等)まま、座ったりすると、色移りの原因になります。弊社でも「車両シートにジーンズの色が移ってしまった」という問い合わせが、少なくありません。

Q & A

 

雨に濡れてしまったときは?

・靴やバッグが雨に濡れてしまったとき
革に水は大敵!素早く水分をとることが大切です。乾いたタオルやファイバークロス等でよく拭きとり、直射日光を避け、風通しの良い場所に置き乾かします。靴の中まで濡れてしまった場合は、布で水分を拭き取った後、ペーパータオルを詰めてあげましょう。ティッシュペーパー等で包んだ乾燥剤をその中に入れるとより効果的です。新聞紙も効果的ではありますが、インクが革に写ってしまう場合もございますので気をつけましょう。ドライヤーで乾かす場合は弱い風と温度でゆっくりと乾かします。急に強い熱をあててしまうと革が伸びたりシュリンクする可能性があるので 注意が必要です。シューズドライヤーがあれば、こちらのほうが有効です。
バッグやジャケット類も同様です。ただし、ドライヤー等強制乾燥は避けたほうが良いでしょう。また、水分を含んだバッグの下に新聞紙や広告紙等を敷いておく場合は、革と紙が接触していないことを確認してください。乾いた時に紙が革に貼り付いてしまう場合があります。

 

ジュースやお茶をこぼしてしまったときは?

・ソファーやシートにジュースやお茶をこぼしてしまったら
 ジュースやお茶には糖分や色素が含まれている場合があります。取りきれないとシミになりますので一刻も早く拭き取りましょう。革専用のクリーナー等があればこれを使用してすぐに洗いましょう。ケア製品を持ち合わせていない場合。革に水は大敵ですが、このような緊急事態の場合は硬く絞ったタオルで水拭きすることをお勧めいたします。(色素を薄めるため)拭き取れたなと思ったら、ドライヤーを充分に離し(手をかざしても熱いと感じない程度に離し)、弱い風を当ててゆっくりと乾かします。急に強い熱を当てると、革が伸びたりシュリンクする可能性がありますので注意が必要です。
ジュースやお茶おこぼしてから大分時間が経ってしまった場合は、シミが残るケースが多いので、気がついたらすぐに対処することをお勧めいたします。

 

ワインやビールをこぼしてしまったときは?

・ソファーにワインやビール等アルコール飲料をこぼしてしまったら
アルコールを含んだ飲料類はその成分により、強い浸透力と革の塗膜を溶かす作用を併せ持っています。ですから、こぼした瞬間に対処することがシミにしないポイントです。
特に色素の強い赤ワインが革の内部に浸透した場合、時間が経つほど一生の思い出になってしまいます。(染料染めと同様とイメージして下さい。)
対処法は前述と同様硬く絞ったタオルで水分と色素を拭き取ります。その後ドライヤーを当て(温度は低めに、風量は多目に)アルコール分と水分を除去します。
顔料仕上げの革は塗膜が厚い為、アルコール飲料の革内部への浸透に対し抵抗し、時間を稼げますが、アニリン仕上げやナチュラルレザーの場合は、殆どこぼした瞬間から浸透が始まりますので、シミになりやすいことを特に意識してご使用ください。

 

まとめ

 

一括りに、革製品といっても、使用されている革の種類によって、異なる性質を有し、お手入れ方法も、その革によって異なることがお判り頂けたと思います。
弊社は、革製品を大切にご使用されたい方の一助として、日常のお手入れやケア用品を使用したお手入れをご紹介しております。しかし、「お手入れ」の枠を出てしまった革製品について、修理やクリーニング・トリートメントを承らせて頂いております。革について、その修理方法や施工方法についての疑問やご不明な点等、お気軽にご相談、ご質問頂ければ幸いです。

 


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